「あん」感想文
まず始めに、本を読まないパパがドリアン助川さんを知っていて驚いた。昔ラジオできいていたそうで。そうなんだー
とても優しくて読みやすいお話だった。
「また、桜の国で」は素晴らしかったけど、ダメージもあったからリハビリも兼ねてこの優しさ丁度良かった(^_^;)
どうやら私は感情移入しやすいみたいだな。
知っている病名だったけど、こんな歴史があったなんて知らなかった。最近までそうだったんだ。
多くの人が知るべき大切なことを、ほとんど知らない私。無知を痛感する。
徳江さんは10代の頃ハンセン病にかかり、ずっと世間と隔離された人生を送っていた。家族とも会えず、名前も変えて、ある日突然身に降りかかってきた苦しみや悲しみ、絶望、そして病気による身の苦痛や恐怖。
本人の責任は何もないのに、強制的に押し付けられた閉ざされた人生と差別。
自分は何のために生きているのか
なぜ生まれてきたのか
絶望の中で生きている意味はなんなのか
ずっとそんな事を反復し、もがきながら答えを探し続けていたんだと思う。
徳江さんの最後の手紙から、曲がりなりにも普通に無事に人生を全うした人だけが生きる意味があるのではない。様々な理由からあっという間に終わってしまった命も、闘病で苦しみもがいて終わる命も、社会の一員になれず人の役にたっていないと疎外感を感じながら終わる命も、すべてに意味がある。「生きている」ということに意味があると考えたんんだろうと思った。
この世に生まれたこと、生きていることに意味があるんだと。
そう思うことが、ハンセン病と共に生きることを支えていたのかな。
そしてあん作りも、徳江さんの大きな生きる意味として支えていた。
最後の森山さんとのやりとりも、面白かったなぁ(*^^*)