「また、桜の国で」感想文


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須賀しのぶさんの本を初めてよんだけど、傑作だった。読んでるうち、どんどんのめり込んでいった。

人間社会の縮図をこの1冊にまとめたような作品だった。

私はこういった時代小説(?)といわれるものを、あまり読んだことがなかった。そして、ポーランドについても何の知識もなかった。アウシュビッツがあった場所・・・その程度だった。

書かれている一言一言が重くて、深く考えさせられた。だけど私が簡単に出せる答えなんて何もなかった。

歴史は勝者によって作られる、まさにその通りだ。その過程で犠牲になってしまった、たくさんの「勝者ではない人」は忘れ去られ、あるいは卑怯者と位置付けられ記憶から消されていく。

私は西洋諸国についての知識が無いから、ヨーロッパが植民地を築いていった非道な国々といったイメージが漠然とあった。しかし、非道な大陸で持たざる国は同じように苦難の連続だったんだ。他国の犠牲を絞りだし、巨人となっていった国はヨーロッパというくくりで語ってはいけなかった。

よみながら、ポーランドは日本と似ていると感じた。持たざる国がどうやって生きていくか、知恵を使わなければ生きていかれない。

疑問に思ったのは、やはりユダヤ人に対する虐殺。ヒトラーは一政治家に過ぎないのに、神にでもなったつもりでいたのか。ドイツ人が最も優秀な人間だと心の底から信じていたのか。

日本人の私には、地形的に理解できない問題なのかもしれない。杉浦千畝がユダヤ人を救った、満州で陸軍がユダヤ人を助けた、ユダヤ人の戦災孤児を支援していた。そんな話はたくさんあって、だけど「敗者」日本は美談は世に知れ渡らない。 

だけど日本人が素晴らしいという話ではない。遠く離れた日本だから、ユダヤ人に対する差別もなく(分からず)援助できたのだと思う。そこには善や正義など、素晴らしい理念があるのはその通り。じゃあ日本人は差別しないかとなると、それはない。差別はある。人間には誰しもその感情を持ち合わせている。

努力をすれば、様々なことを学ぶことが出来る。年齢を重ねて成熟していっても、さらに年齢を重ねれば一生が終わる。代わる世代はまだ未成熟で1から学ばないといけない。そんなことの繰り返し、だから歴史から学ばないといけないのだろうな。だから大人が伝えなければいけないのだろうな。

 

分からないことが山のようにある。なぜユダヤ人は迫害されなければいけなかったのか、なぜ戦争とは関係のない虐殺をあそこまで行ったのか、人間をそこまで悪にする根っこは何だったのか、どこまで愚かになれるのか、

ヘイトだけでなく学びたい。忘れ去られた悲しい記憶を救いとって、記憶として残しこれからの世代へ繋げたい。

子供たちにも繋げたい。

 

読んで良かった1冊(*^^*)

他の作品もよんでみたい!!!